YOKOO'S VISION - 横尾忠則の日記 -

2026年10月

食欲がなくて困っている。何を食べてもまずい。かつての好物までまずい。食事のことを考えると憂鬱になる。食べることが怖くなるのだ。食欲は人間の五欲の中でも命にかかわる問題である。その命の元から逃げたくなっている。

食欲がないので、知人の編集者が連れだして、レストランに行った。食べ残すと店の人は嫌がるだろうなと、思ったけれど、嫌々食べ出したら、結構、ほぼ完食に近いほど食べられた。レストランという環境と、人と話しながらがよかったのかな。

結局、身体で食べるのではなく、精神で食べているのかも知れない。

テイクアウトを止めて、外食をすればいいということかな。

今までの大きい作品から小品に変ってきた。アーティストからアスリートに変り、今は職人になった感じだ。

いよいよイギリスのテームズ&ハドソンの「TADANORI YOKOO」が発売したらしい。アマゾンに問い合わせてみて下さい。日本版は河出書房新社から来年6月に発売予定。さらにアメリカから来年末に世界40ヶ国で発売される自伝画集も、日米で進行中。 

とにかく食欲、味覚不振で、食べ物のこと考えるだけで憂鬱です。90過ぎると、このような現象が起こるそうですが、ほとんど生きている価値を奪われたも同然です。食べないで生きるとはどういうことかしら?

いよいよイギリスのテームズ&ハドソン社からの豪華本「TADANORI YOKOO」が今月の27日からヨーロッパ、アメリカで発売されるようです。ネットでチェックしてみて下さい。日本は来年6月に発売されます。日本版のために新たな編集も行なわれます。

あんまりの大冊なので店頭では立ち見は無理だと思います。とにかく豪華版ですが海外版はさらに超豪華本2種販売されますが、この2冊に関してはヨーロッパ、アメリカのみの発売です。

食欲不振でフラフラで歩くのもつらいけれど、睡眠は大谷ばりでよく眠れます。また絵を描くのは全く苦にならないのが不思議です。

毎日1〜2点づつカタールの芸術家の肖像を日記のように描いている。男女共制服着用が多いために「アラビアのローレンス」のような人物ばかりで、個人差の描き分けが難しいので92点を92通りの絵に描き分けている。

相変わらず食欲、味覚がなく、食べる前から味がわかってしまうものは食べたくない。

味の記憶のないものなら食べられそうだけど、記憶が食欲をコントロールする

人間の五欲の中でも最も重要な食欲がないのは困ったものだ。生きる愉しみを奪われたも同然。

昨日、アトリエ内でけつまずいて床に額を思いっきりぶっつけて、しばらく、打撲の震動が取れずに、うずくまったままだった。家の中での転倒は老齢者にとっては危険な場所である。