1月31日
  大勢の方々からお見舞いのメールをいただき心からお礼を申し上げます。右手に帯状庖疹が表れたのですが、痛みが激しく、絵も字も思うように書けないのと痛みのために眠れないのが辛いです。まあ、しばらく仕事を休んで休養すれば治るのではないかと思っています。
  そんな中、熊本市現代美術館 のオープニングへ行って来ました。2月24日 〜 2月27日は会場で公開制作、3月27日には宝塚のトップスターの轟悠さんとのランチ・トークショーを行います。このトークショーは完売ですが公開制作は人数制限がありませんので、是非いらして下さい。

1月28日
  いよいよ今夜オープニングが開催されます。「熊本・ブエノスアイレス化計画」の個展のために、わざわざアルゼンチン大使夫妻も出席されます。会場構成が大変素晴らしく、まるで他人の展覧会を見ているような感動を受けています。会場にはピアソラの曲に合わせてタンゴを踊るダンサーの映像が壁いっぱいに映されて、ビカビカの床には作品が水に映ったように逆さに揺らめいています。そして滝のポストカードの部屋は圧巻で、危わゆく滝壷の中に落ちそうです。また長いのれんをくぐれば銭湯シリーズで、ここは蒸し暑い感じで、再びのれんをくぐって外に出ると夜のY字路の街に出て、身体が涼しくなります。他にも見どころ満載の情熱のブエノスアイレスと熱い火の国熊本のホットライン(熊本の真反対がブエノスアイレス)が地球を串刺しにした風変わりな展覧会です。ぜひここ熊本に来て下さい。

1月27日
  退院早々汽車(?)の旅。飛行機が好きでないから国内はどこに行くのも汽車になります。熊本市現代美術館のオープニング(28日)のためですが、片道6時間は病上がりの体力にはつらいかなと思いましたが、あっという間に来てしまったという感じです。博多から乗ったリレーつばめ号は黒い車体でちょっと軍用車のよう。運転席の後ろがトップキャビンといって個室になっていて、そこで原稿など書いていました。またサービスもよく、ジュース飲み放題というのも嬉しいものです。ただ、電車がもの凄く揺れるのが難点。とっても歩けたものではない。もし飛行機がこれくらい揺れたら相当恐怖だろうなと思う。

1月25日
  人間は何もしない(仕事を)時の方があれこれ多くのことを(心の中で)するものですね。
  昔買った本や、かつて読んだ本ばかりを読んでいました。それが全く初めて読むような気分で、何も覚えていないのですいないのです。気に入った本が20冊もあれば一生そればかり繰り返して読んだ方が、1,000冊の違った本を読むより、ずっと身につくような気がしました。

1月24日
  実は先々週から体調を崩して入院していました。数日前までの短文は病因から発信したものです。病室は終日陽が当たり温室にいるようで、暖房は必要なかったのです。シュタイナーだったと思うのですが、「病気は運命を変えるチャンス」だと言っていました。入院中はテレビも見ず、ほとんど社会と切り離した生活をしていましたので、苦痛の中の「快」という感じで、普段考えないことまで考える機会に恵まれました。しばらくは休養と考えています。病気は見失いかけている自分を取り戻させるための一種の自然の摂理のような気がします。

1月13日
  創造的になる時はきまって微熱がある。もう一人の透明の自分が肉体から少しずれて肉体の外に出ている感覚だ。最も理想的な創造はこうした瞬間に行われるものだと思う。

1月12日
  冬の空は青くて広い。地上近くの雲はマグリットの絵の雲のようにちぎれて、横に流れている。空は空想力をかき立てる。空想のことを「空を想う」と書く。蒼一色の空の奥行きを想う時、生と死を超えた無限とか永遠に「私」が溶け込んで、そして「私」も消えてしまう。今日はそんな空を長時間眺めていた。
  久し振りにデパートへ行った。人がいっぱい。でもぼくと無関係に動いている。一人でいる孤独よりかは人ごみの中で感じる孤独の方が、自分自身がきわ立って見える。

1月8日
  最近あんまり肉が食べられなくなりました。魚が嫌いなので肉中心の食生活が、やはり年齢と共に変化するのですかね。肉を食べると夜中に胸やけがするのです。ろいって魚は今でもあんまり好きじゃないです。一番好きな魚はめざし、次がニシン、三番目がししゃもです。さしみも好きじゃないです。特にイカが嫌いです。寿司は食べます。寿司ならトロとタコとウニぐらいです。だけど大阪寿司のバッテラは好きです。ああそれから巻き寿司です。とはいうものの寿司は出前で一ヶ月に一、二回ぐらいですかね。

1月5日
  今年の初詣は4日だった。喜多見にある氷川神社に土屋嘉男さんを誘って自転車で行った。毎年日記帳の1ページに御朱印を押してもらうのだが、今回は既製品の御朱印になってしまった。昔は御朱印帳を持って神社仏閣でよく押してもらったものだ。その内コレクションになってしまってどこの神社やお寺でもいいことになってしまった。そしてこのことが目的になってしまったので止めた。目的になった途端、面白くなってしまう。なんだってそうだ。だからなるべく目的を持たないようにしている。
  海外通信欄には初登場の画家の神津善之助さんが長文を書いてくれた。彼は目下帰国中ですが、間もなくスペインからホットな芸術観を送ってくれるかも知れません。ニューヨークからはジャーナリストの三浦さん、ロンドンからはデザイナーのSHOKOさんの通信が送られてくるので、ぜひ読んでみて下さい。きっとナマの声が伝わってきて興味あるニュースが伝えられると思います。
  元旦から毎日富士山がアトリエから見えます。白い雪が太陽の光で輝いています。昔は東京のどこからも見えたことが広重の浮世絵でわかります。富士山はぼくの作品(特に昔の)にはしばしば登場するモチーフです。富士山は特に見えると同時に見られているという二面性があります。富士山の視線を感じながら今日もアトリエで制作しています。

1月4日
  元旦は俳優の土屋嘉男さんお車でファミレスに行きました。彼はファミレスファンでいつもよく行きます。カキフライばかり食べている人です。土屋さんを知らない若い人は、黒澤明監督の「七人の侍」でデビューした俳優で、その後黒澤映画の常連といえばいいでしょうか。黒澤映画以外では昔の東宝の宇宙映画には何本も出演しています。エッセイがすごく上手くて文庫本(新潮社)も何冊か出ています。変で純粋でインテリです。ぼくの長年の親友です。土屋さんのこと老人というと怒られるかも知れないが、ぼくは老人が好きで、今までもそんな人達とつき合ってきました。でも老人なので、次々にこの世からいなくなります。親友、知人はこちらにいる人よりあちらに行った人の方が多いような気がします。眠る時は毎晩向こうにいる人のことを頭に浮かべて眠ります。

1月3日
新年おめでとうございます。
毎年大晦日は描き納めをして、元旦は描き初めをすることに決めています。1ヶ月以上かかった作品がやっと元旦の夕方に完成しました。'04から'05にわたった作品です。勿論熊本市現代美術館に出品する銭湯シリーズでこのシリーズ通算12点目です。2日目はぼくが舞台美術を手掛けている宝塚の雪組の初日に東京宝塚大劇場へ出掛けます。大舞台なので迫力があります。宝塚を見たことのない方はこの際ぜひと言いたいものです。