8月29日
今日は快晴。DVDの編集をしていた伊藤さんがモニターなど機材を全部引き上げていった。そして明日スタジオに入って全員でいよいよ最終のチェックと完成作品の編集に入る。そのために明日は一日中赤坂のスタジオ入り。完成DVDが世の中に出るのは10月の初め。期待していて下さい。都現美でも販売予定。
今夜は大浦みずきさんのディナーショーへ行きます。大浦さんは元宝塚の花組の男役トップスターで、彼女に並ぶダンサーは誰もいなかったという。何しろ宝塚歌劇団がニューヨーク公演する時、すでに引退していた大浦さんを呼び戻したほどの名ダンサー。その彼女のタンゴリサイタルを観に行くことになっている。大浦さんのリサイタルのポスターやCDジャケットのデザインもしている5年来の友人です。今夜は「命、大浦」ファンが沢山集まりそう。
8月28日
夏休みの影響か、わが社(?)は静かだ。と思うと一堂に来客が一日中集中する。そんな時は電話も大量 に集中する。頭の隅では都現美の会場がチラついている。近ければブラッとお茶でも飲みに行きたいんだけど。だから都心に出た時はなるべく立ち寄ることにしよう。それにしても地方から来てくれる人も沢山いるとのこと嬉しいですね。この間山口県の錦町でのワーク・ショップに参加した人達にも見てもらいたいのですが、来れない人は9月1日の「新・日曜美術館」(NHK教育テレビ:午前9時〜/再放送午後8時〜)をどうぞ!
8月27日
今日も明日も明後日もDVDの編集をしています。このDVDは以前BS朝日のハイビジョン番組で2時間ものを放映したのですが、それを新たに他の映像や新しいイメージを挿入して新バージョンを制作しています。9月の末には都現美やビデオショップ、当インターネットでも販売される予定です。エジプト、ローマ、ベニス、ニューヨーク、西脇と移動しながら、創作と生活、そして旅を通
して様々な事物を描いています。
何度もいいます。9月1日(日)「新・日曜美術館」NHK教育テレビ(午前9時〜/再放送は午後8時〜)をぜひ見て下さい。ぼくもどんな番組になるのやらわかりません。柿沼君という若いディレクターの作品です。いつもの「新・日曜美術館」とはかなり変わったものになるはずです。この放送を見てもう一度会場に足を運んでもらうとうんと解り易いですよ。なにしろ「ヨコオ論タダノリ」(平凡社)を書いた荒俣 宏さんなんだから。
8月26日
土、日曜は山口県の錦町へ「水辺の絵画教室」というワーク・ショップに行ってきました。小学生から一般 の方まで大勢参加して絵を描いてもらいました。以前NHKテレビでやった「ようこそ先輩」のライブ版で、最後は全員が絵を描く楽しみを体験したようです。帰りには広島でお好み焼きを食べて帰京しました。
オープニング・パーティーの写真を近い内に整理して掲載します。また後半のトークショーには是非どうぞ。
「PRINTS 21」という美術誌には都現美の日記が掲載されます。こちらの方も。
この間、都現美で女優の紺野美紗子さんのインタビュー(TV)を受けました。その彼女は展覧会を見終わったあと、何か行動を起こしたい気分ですと言っていました。馬にまたがって走っているような気分とか。横から女性のディレクターが発情した感じ?と聞いたら、それに近いとも。ぼくの絵の目的(特に目的はないが)は「行動を起こさせたい」ということかも知れません。身体から身体へ。
8月21日
今日は加藤和彦さんが来てフォーク・クルセダーズを一日だけ結成するが、その前にCDを発売することになって、そのアルバムジャケットやポスターの依頼を受けた。センセーショナルなタイトルで、センセーショナルな、しかもどこか懐かしくておかしくて、悲しいビジュアルを作るつもりだ。加藤さんとはかなり昔から知り合いだけれどまだ一度も一緒に仕事はしたことがなかった。市川猿之助さんのスーパー歌舞伎「新・三国志」の音楽を担当していて、加藤さんの希望で猿之助さんのスーパー歌舞伎のポスターをデザインすることになった。そんな関係である。そういえば「新・三国志」の最終巻PART・は来年の3月、そのポスターも作ることになっている。
今日「Cat」とかいう雑誌でわが家の野良猫タマゴの撮影があった。これが大変、何しろ野良だから人が恐くて、しかも抱かれるのが嫌いで、左脳を噛まれてしまった。日に日に大きくなるが、ゴハンの食べ過ぎなのか妊娠なのか未だに飼主にもわからない。
糸井さんとの展覧会会場廻りのおしゃべりは如何ですか。「ほぼ日」でやっているのは知ってますよね。糸井さんは話も上手いし、頭もいいし、物知りだし、何より感性がするどい。何がエライといっても感性のにぶい人は付き合いたくないですよね。知的な人は多いけど感性のいい人って案外少ないものです。感性は肉体を通
して養われるものです。とにかく行動あるのみです。
昨日も書いたけど10月25日の紫吹淳さんのトークショーで、一度宝塚のトップスターの話を聴いてみて下さい。当日は彼女の舞台ビデオを見せたいと思っています。宝塚ファンで会場はいっぱいになると思いますが、でない人にも沢山来てもらいたいのでチケットを売り出すとすぐ申し込んで下さい。もしかしたら往復ハガキで先着順という形になるかも知れません。トークショーは無料のはずです。
8月20日
都現美での狂言のトークショーは会場が広いために声が後ろまで届かなかったそうですね。でも狂言の方は演者の声が大きいのでよく聞こえたと思います。ぼくの装束は如何だったですか。当日は石原都知事も来られて個展を見ていただきました。石原さんと三島由紀夫さんの話題になることが多いんです。石原さんが発案したワンダー・サイト展が都現美の地下でやっています。昨日は休館日だったので目下制作中のDVDの中に挿入する会場風景とインタビューを受けるために美術館に行きました。「森羅万象」展を見に来てくれた人は感想を聞かしてくれると嬉しいです。待っています。金、土は夜の8時までやっています。個展記念Tシャツ、ポスター、新しく制作したポストカード、著書、その他のグッズなどが1階2階のSHOPにて販売しています。是非立ち寄って下さい。
トークショーも企画中です。また映画「新宿泥棒日記」(大島渚監督)も上映します。宝塚ファンには月組トップスターの紫吹淳とトークをします。10月25日の午後になる予定です。宝塚ファン以外の人にも沢山来てもらいたいと思います。トークショーに関しては後日もっと詳しくお伝えします。
NHK「新・日曜美術館」では45分枠で放映されます。9月1日教育テレビ午前9時と再放送は同日の午後8時です。
また「真夜中の王国」(NHK.BS2)にも登場します。(INFORMATIONのページを参照してください)
今週の「BRUTUS」もう見ましたか。ポスターの付録が付いています。
8月19日
遠い視線近い視点 7/17 掲載分 東京新聞連載より
マグリットの謎 
ルネ・マグリットのプレビュー展に行った。開会のセレモニーをはずして少し遅刻して行ったら、会場内はテレビのクルーだらけで、観客は一人もいなくて、ぼくだけのための展覧会気分でゆっくり堪能しながら観賞した。
別の場所でレセプションが行われていたが、それも欠席したので、作品とじっくり対話しながら実に至福の時間をマグリットと共に過ごすことができた。
マグリット展は今までにも数回日本で開催されており、また外国でも二回ぐらい大きい展覧会を観ているので、大低の作品は実物でなくても画集などで知っているので、初めて見る作品というのはほとんどないが、今回見たことのない作品に出合った。
不思議なもので見たことのない作品に出合うと、その周辺の空気がガラリと変わって、他の知っている作品まで未知の作品に見えてしまうのだった。でなくともマグリットの作品は謎に満ちている。
不思議なもので見たことのない作品に出合うと、その周辺の空気がガラリと変わって、他の知ってい
る作品まで未知の作品に見えてしまうのだった。でなくともマグリットの作品は謎に満ちている。そんな謎がさらに別 の謎を呼んで、会場全部が謎で埋めつくされていく。
謎は人生にとって必要不可欠である。もし、この世の中に謎がなければ、なんと白けた人生になってしまうかもしれない。謎は生きて行く上で非常に重要な要素である。あの世のことに限らず、この世のことだって、第一自分のことだって何ひとつ分からないことだらけだ。私という存在そのものが謎である。絵を描くことだって自分自身の謎を解明したくって描くようなものである。
そんな謎をマグリットは絵の主題にした。もしマグリットの作品から謎の部分を捨て去ると、ただの上手な看板絵になりかねない。絵の描写 に個性があるわけではない。だけどそこに謎が入ると俄然、看板絵が芸術になってしまう。そのためにも絵の描写
は当たり前の絵である必要がある。描写が例えばキュビズムや表現主義などであってはならないのだ。
たとえ印象派風の描写でも困る。その証拠にマグリットは一時ルノアール風の様式で制作する時期がある。今回の展覧会にもそのスタイルの作品が数点あるが、謎が謎に見えないのである。なんだかメルヘンチックな絵本の挿絵みたいになってしまうのである。
どうも謎は個性的な書き方でない方が協調されるようだ。人間だってあんまり個性的な人物より、むしろ普通 でどこかチョッと違う方が謎めいて見える。そういう意味でマグリットは謎の見せ方が実に上手い。しかも別
の人間が非個性的な普通の描写で、ちょっと変わったイメージの絵を描いてごらん。それはすぐマグリットの真似になってしまう。
だからマグリットはお墨付きの謎の画家として、たった一人この世に存在するだけである。マグリットのモチーフを引用したぼくの作品を掲載したが、ここにはマグリットの謎はない。これもまた謎のひとつか。
8月13日
都現美の個展の「森羅万象」のオープニングがありました。美術関係者だけではなく、編集者、友人、知人が840人来てくれました。皆さんご存知の著名人も沢山!一堂にこれだけの人達が会場に入ったので、広大なスペースも人の波で、作品が見えなくなる始末。一昨日は気分転換で宝塚歌劇を観劇
(月組「プラハの春」) の後都現美へ。豪華カタログが随分売れていて。この分だと早々に完売の恐れありです。Tシャツ(ポスターと同じデザイン)の売れ行きも良好。これは展覧会会期中の限定販売です。詳しい情報はまた日を追って!
「アイディア」'02-'09に「横尾新聞」が挟み込まれていて、興味の有る方は書店の美術コーナーへ。また「BRUTUS」(8月15日発売)がB全サイズの壁新聞を制作しました。ここに記載されているのが全てではないですからね。展覧会会場でぜひ実物を!観た人はできるだけ多くの友人、知人に宣伝して下さい。今後も展覧会期間中のイベント情報を随時どこよりもいち早くサイトにて流しますので是非チェックして下さい。
また糸井重里さんのHPでは糸井さんとの対談(会場内の作品を観ながら)が連載されています。(詳しくはINFORMATIONのページを御覧ください)
8月8日
赤いパワーに興奮
(遠い視線近い視点 東京新聞連載より)

W杯開催中はテレビも新聞もサッカー一色で、実生活にもその影響が及んでいる。サッカーに興味のなかった人たちもにわかサポーターになって、このような人に限ってサッカー熱にうかされたりする。
ところで、このぼくはといえば以前から興味がなかったので周囲の喧騒にもそれほど巻き込まれることはなかった。第一、日本の初戦がいつあるかも知らなかった。人気のイングランドの試合も、アトリエで夕食の出前を取ったら、配達の人に「サッカー見ないんですか」といわれ、「いつ?」と聞くと「お客が一人も来なかった」といったので、その日あったことを知った。家に電話すると妻も「美空ひばりの番組が五時間もあるので、それを見ている」という。
その数日後、タクシーで六本木に向かう途中、青いTシャツの若者がゾロゾロ途切れることなく列を作り、延々同じ方向に歩いているので、タクシーの運転手に聞いたら「サッカーのテレビを見るためにどこかに行くんでしょう」という返事。実際は国立競技場で日本対ロシア戦の生中継があったのである。
三時半からメキシコ対エクアドル戦もあったらしいが、丁度この時間から仕事の打ち合わせのために三人でビルの中の喫茶店に入った。ところが打ち合わせをせずにサッカー論を戦わせる結果になってしまった。客はわれわれ三人だけで、ウェイターも調理場でテレビを見ているらしく店内に姿はない。
一度だけ店の奥で大きい歓声が上がった。「どちらが点を入れたんでしょうね」と三人はいたって冷静だ。まるで世の中に逆らっているようで、多少気分もいい。帰りのタクシーの中、再び点が入ったようだが、渋谷のトンネルの中だったので、音声が乱れてその瞬間は聴きのがした。
四戦目の時は入場式だけ見てすぐアトリエに向かった。試合を見ていると八月の東京都現代美術館での個展の制作に間に合わないからだ。夜遅く帰宅して日本が負けたことを知った。これで少しは世の中も静かになるだろうと思った矢先、今度は韓国パワーがテレビからぼくを襲った。それはあの赤一色の色彩のパワーが原因のようである。何しろ、ぼくは「赤シリーズ」という赤い絵画をここ数年間、描き続けているからだ。
その赤いパワーを見たいと思って、初めて韓国とドイツ戦を見た。どっちが勝ってもいいが、ぼくの関心はスタンドの赤色にあった。赤色がうなり声を上げて津波のように押し寄せる様に、ぼくはいつしか興奮していた。残念ながら韓国が敗退したために赤のエネルギーも消滅した。韓国に勝ってもらいたかったとこの時、初めて思った。
ここに掲載した夜のY字路を描いた風景画は赤のシリーズ作品ではないが、サッカーボールが描かれている。フランスが企画した日本での現代美術展に出品した中の一点だが、W杯にちなんだこの展覧会は会場が定まらず実現しなかったと残念がるメールがフランスから届いた。サッカーに熱意のなかったぼくのせいではないと思うが・・・。
8月2日
とにかく暑いですね。毎日スポーツドリンクが手放せません。水分だけじゃダメで塩分も必要とか。制作は中段ですが都現美関係で何かとスタッフ一同台風の目の中で、5日以降の作業の為目下待機中です。
火曜日は都現美でワンダーサイトの審査があって石原慎太郎都知事と一緒でした。石原さんはその昔絵を描いていたので、またわれわれ共通の知人三島由紀夫さんに関する話もよくします。昨夜は今度「ヨコオ論タダノリ」を著して下さった。
荒俣宏さんと成城の椿でとんかつを食べたあと、わが家で前平凡社社長下中宏夫妻編集者の及川さんらと夜遅くまで、芸術論や何やかや多方面に話題が飛び、とにかく楽しくて充実した一夜でした。ぜひ拙著「横尾流現代美術」と合わせて荒俣さんの「ヨコオ論タダノリ」(平凡社)も読んで下さい。頭が10倍位よくなりますよ。
今日妻と三宅一生さんのオフィスに行って個展のプレビュー・パーティーに来ていく洋服を一生さんに選んでもらいます。それにしてもあと一点描かないと。海外に流出している60年代の作品のリニューアルを制作するためです。まあ前日に会場に持っていくことになりそうです。400点は多分美術館開館以来の点数だと思います。体力をつけて見に行って下さい。また狂言「ナマシマ」のチケットがあとわずか残っています。こちらの方は至急チケット・ぴあか都現美のチケットブースへ。たった今わがスタッフからぴあの方が売り切れそうという情報が入りました。(今日の午後2時時点です)このチケットは個展観賞と共通チケットになっているので、個展のあと、狂言を観ることになります。この日(8月15日)は午後からワンダーサイトの授賞式が美術館であり、石原都知事も来ています。石原さんは式のあと個展を見てくれるはずです。もしかしたらこの日来ている人は会場で石原都知事と会えるかも知れません。ぼくも行きます。